ダイバーシティ&インクルージョン棟B棟地点の調査が終了しました

写真1(現・暗闇坂方向へ下る坂道)

写真2(竪穴建物(弥生時代中期))

 第二食堂の北側にある旧出版会・テニスコートの跡地は2024年に発掘調査が行なわれ、良好な状態で遺跡が確認されています。この付近は加賀藩邸内でも北辺にあたり、「御歩組(おかちぐみ)」と呼ばれる下級藩士の長屋でした。調査では、地下室・井戸・ごみ穴などをはじめとした長屋での生活に伴う遺構を中心に800基以上の遺構が検出されています。
 また17世紀代の遺構が150基以上検出され、下屋敷だった時期においても敷地の端まで積極的に活用していたことが明らかになりました。なかでも現在の暗闇坂方向に続くとみられる坂道は、縁辺ならではの遺構といえます。長さ4.8m以上、幅1.35mにおよび、両脇には側溝を有しています(写真1)。路面は砂利敷で3回にわたり舗装し直されており、ある程度継続して利用されていたことがうかがえます。
 このほか弥生時代中期の竪穴建物1軒が検出されています(写真2)。床面には炭化材や焼土が残り、宮ノ台期の土器を伴って出土しています。近在する東京都下水道地点(本郷87)でも同様の竪穴建物が確認されており、付近に集落があった可能性を示唆しています。
(執筆:小川祐司)

調査地点:ダイバーシティ&インクルージョン棟B棟(本郷345)
参考文献:「東京大学構内の遺跡 東京都下水道地点」(東京大学構内遺跡調査研究年報14、2021年刊行)

2025年01月22日